実際の臨床の現場に立つと、なぜ薬を飲ませてよいのか、その場しのぎの診察になっていないか、正常とは、人の幸福とは、何が本当の問題なのか、何を改善すればよいのかなど、がぜん良識が高まり、数学ではないけど、数学で用いた整合性のある原因と結果を見極めたいと思うようになりました。
薬物の濃度で人間が自分をコントロールできるようになるのか、つまり人間が薬物を使用することによって自由を取り戻せるのかを確かめることが必要と感じ、法医学教室で薬物濃度の研究をしました。
残念ですが、結果は単純なものではないことしかわかりませんでした。
当たり前ですが、人によって気持ちが楽になって冷静になれる状態には差があります。
しかし、そのことを踏まえても、結果に疑問が残りました。
私見ですが、濃度でのコントロールは仮想のもののようです。
結局、薬は、リハビリで使う松葉つえのようなもので、就寝松葉つえが必要な人もいますが、そうでない人もいるわけです。
ただ、松葉つえに頼るばかりだと、本来頼らなくてもできるにもかかわらず、それなしではいられなくなると言いうことです。
徳永 仁伯 (とくなが ひろのり)
院長
●1989年/九州大学医学部卒業
1995年/精神保健指定医
1996年/九州大学学位記
2005年/精神科指導医
2006年/精神科専門医
●職歴
九州大学医学部附属病院
福岡県立太宰府病院
国立病院九州医療センター
など
●留学経験
アメリカミネソタ州立ミネソタ大学医学部
アメリカオハイオ州退役軍人病院
●2013年/メンタルクリニック百道浜 院長
◆専門分野/うつ、薬物依存、適応障害、摂食障害など精神科全般