NEWS & お知らせ

2019-12-13 メンタルクリニック百道浜

休職 復職 うつ病 適応障害

職場内で、上司や同僚などと折り合いが悪く、つまり怒鳴られたり、つまはじきされていじめられあるいは感じて、職場に近づくと震えが出たり、職場に行こうとするだけで吐き気、動悸で動けなくなる方が多い。男女問わずに、あるいは学生でも。

休職することを目的の来院が多い。休職したいので来ましたと最初から言われる。結論ありきです。

職場と縁がなかったと思い、本人の意思を尊重します。

本人にこれまでの経緯を振り返っていただくことから始めて、現病歴を、成育歴を含めて聞きます。今回の結論に至られたことは、本人の考え方、習慣が現実にそぐわず、そのために苦しんでいる、つまり本人の考え方、これまでの生き方を変えることが、今ここで必要とされています。

これらを踏まえて、通院しながら仕事を何とか継続できる方法を探ります。

過去に言われたことが頭をよぎる、あーしておけばよかった、失敗したことが頭を離れない、どうしてこうしなかったのか、自分はこうでないといけないのにという、自分にとってネガティブなことが絶えず頭に浮かぶ、考えてしまうことがおおむね共通した問題です。うつ病の診断基準に、興味や喜びの喪失、気分の沈みなどあげられますが、絶えずネガティブなことを考えてしまう状態がうつの本質で、その2次的表現として、診断基準の状況を生じると考えています。また、この様な反省や後悔を性格で片づけず、考え方を変えるのは今でしょ。起こったことは必要なことです。現実から目を背けず、現実と向き合うことこそ治療です。

本人に現在困っていること、その中で一番のものは何かを改めてお聞きし、何故それが困ることなのか、本当に問題なのは何かを本人の言葉を繰り返し使いながらひも解きます。結局は、自分が許せない、この1点に絞られます。

可笑しな人が言うことだから話し半分で構いませんが、患者さんには、自分を許しますと言いなさい、さあ、これから私の後について10回、必ず声を出して言うんですよと言って、私が先導して10回言います。その後で、今のように10回ずつ、どうもなくても言う、どうかあればもっと言う、1日千回以上は必ずと言っています。

ただし、そのままでは苦しくて言えませんので、薬を飲んでもらいます。

1日2回ないし3回。あるいは1回寝る前に飲んでもらいます。寝つきを気にされる方は、横になって寝ようとしても30分くらいしても眠れないときに眠剤を使用してもらいます。

次の朝は必ず、8時までには起きること、近くの川沿いか池の周りを散歩、できなければ玄関から出て深呼吸でもいいので、家に閉じこもらないようにと言います。家にいる、ないしじっとしていると余計なことを考える暇ができるからです。歩いていると、考えるにしても次に次に考えが進み、何かしらまとまる傾向があります。じっと悩んで机について頭を抱えているときに結論は出ません。部屋の中でもぐるぐる歩き回っているときに何かしらこうしようという暫定的でも考えがまとまります。暇が、あれが悪かった、こうしなければいけなかったというものを導き出します。

以上を説明したのちに、休職するか、仕事を継続してやってみるかを再度尋ねます。

一旦休職すると復職は本当に骨が折れます。先が見えません。でも、できないというならば、職場との縁が無くなったのだと考えて、休職の診断書も書きます。

わからないこと、迷うこと、薬を服用して支障があったりすれば、すぐに電話するように伝えます。高齢や若年者でなければ、原則こちらから連絡はしません。自分で考えてやっていってもらいたいからです。

再来を約束しますが、次に来るのは傷病手当の書類をもって診断書に書いた期日が切れる直前にあるいはそれを超過した数か月後に来られる方がいます。意気揚々と来られ、更新の診断書を要求されます。何をしていたのか聞くと、休んでいたとだけ言われ、それ以上は口を濁されます。当方が治療を継続していたわけではないので、傷病手当の記載はお断りしています。治療が必要だから休職していることを説明し、定期的な通院がないのでは記載できないこと、また休職の診断書の延長の記載も検討せざるを得ないことを説明します。このようなケースでは復職はまず縁がありません。

休職されて、定期的に通院されている方でもこと復職となると難しいのです。

復職は、以前の状況に戻るのではなく、新入社員として今までの会社に採用されたと考えています。

周りの目を気にされる方には、なめられてはいけないと心の中で唱えるように指示します。高圧的な上司には、大きな声であいさつ、心の中で、なめられてはいけないと唱え続けるように指示します。

自分を変えるために、自分を許しますと、人が聞いて無い所でいいから、口に出して唱え続けるように指示します。

薬はしょせん麻酔薬、治すものではない、ただし症状を抑えてくれる、抗うつ薬は自分の嫌な記憶を思い出しにくくしてくれるものと伝えます。状況に応じて服薬回数を減らして行きます。無理に減らすのでなく、薬飲みながら働くのでいい、こういう働き方もあってよかったと思うように言います。おおむね何かおかしいかなと思うときに頓用することで生活に支障がないことを最終的な目標にしています。

自分を許しますは、何を許すではなく、只発音するだけでいい、言っているうちに変わっていく、言えば変わる、やればできる、やらないからできない、言わないから変わらないと、半ば強引に説明しています。自分の考え方を修正するのではなく、上書き、書き換えましょう、いっぺんにやりましょうということです。

ミネソタ州に留学した際のことです。AAの方たちは会を始めるにあたって、神への誓い、12ステップを唱和し、それからビッグブックを回し読みします。同じことを繰り返し何度も行う、このことを習慣づけて、新しい自分に変わろうとされていました。爽やかです。考え方の修正ではなく、上書き、一気呵成、一度に変えていく、爽やかじゃないですか。彼らができるなら、私たちもできるはず、いや、やってやれないことはありません。やらないからできないだけです。やりましょう。言えば変わる、言わないから変わらないだけです。さあ、今です。今でしょ。

徳永 仁伯 (とくなが ひろのり)

院長

●PROFILE

●1989年/九州大学医学部卒業
1995年/精神保健指定医
1996年/九州大学学位記
2005年/精神科指導医
2006年/精神科専門医

●職歴
九州大学医学部附属病院
福岡県立太宰府病院
国立病院九州医療センター
など

●留学経験
アメリカミネソタ州立ミネソタ大学医学部
アメリカオハイオ州退役軍人病院

●2013年/メンタルクリニック百道浜 院長

◆専門分野/うつ、薬物依存、適応障害、摂食障害など精神科全般

●他スタッフの最新メッセージ